祖母の教え

わたしがずっと守り続けている、祖母に教えてもらったことが二つあります。

ひとつはサングラスをかけること。もうひとつは、いつもいい下着を身に着けること。どちらも高校生の時に祖母に言われて、ずっと大切にしていることです。

高校へは自転車で通っていたのですが、ある年、通学中に眩しくて涙が止まらなくなると祖母に話したところ「サングラスをかけなさい」と言われました。白内障を煩っていた祖母は、わたしの目を心配してそう言ってくれたのですが、思春期のわたしにとって、サングラスをかけて通学するのは、ちょっとした冒険でした。人目を気にせずに自分のしたい格好をすることの第一歩だったかもしれません。

そして、祖母から下着のアドバイスを受けたと言うと意外に聞こえるかもしれませんが、これにも彼女なりの理由がありました。ある時、事故にあって病院に運ばれた祖母は、治療のためにズボンをハサミで切られたそうです。その時、怪我のことよりも「今日のパンツを見られたくない!」と、その日の下着が恥ずかしかったそうで、あんな思いはさせたくないと思ったらしいのです。

きっかけはともかく、下着に気を遣うことは「いつ人に見られてもいいように」という理由ではなく、自分のためによいことだったと思います。いつも自分のために、人に見られなくても、気分のいいものを身に着ける。下着に限らず、そういうことって大事ですよね。

洋服を着てから「下着と合わない。この組み合わせは嫌だな」と思う時があります。そういう時には祖母の教えを思い出し、面倒だけど観念して着替えます。いつでもその一日を気分よく過ごせるように、自分が美しいと思うものを身に着けていたいからです。