宇宙人の作ったラーメン

海新山

海新山

学芸大学と祐天寺の間、五本木の交差点近くに宇宙人のお父さんと地球人のお母さんが営む「古代中国料理店 海新山」があります。

はじめてこの店を訪れたときは、その外観に腰が引けてしまい、そのまま引き返して帰りました。二度目でようやく中に入ることができ、予想を裏切る優しい味や、楽しいメニューに、すっかりファンになりました。

ここのお父さんは、いまは体を悪くしてお店には出ていないのですが、ある時「僕は2歳の時、宇宙から来たんだ」と教えてくれました。それから2時間ほど、地球に来た後に中国4000年の歴史を旅して編み出した料理法や、究極のコラーゲンの抽出法など、色々な話を聞かせてくれました。

コラーゲンは食べても効果が無いという説もありますが、この夫婦はいつもピンクに輝くつやつやの肌をしています。たまに見かける息子さんらしき人の肌もつやつやして、年齢不詳です。論より証拠、たしかにここのラーメンを食べた直後は、視界がぱーっと広がるのがわかります。

以前は色々なメニューがあったのですが、いまはお母さんがラーメンと餃子のみを作っています。ラーメンのスープは90%以上がコラーゲンだそうで、13時間かかって作るというそのスープは「飲み干してください」と張り紙がされています。コラーゲンの吸収を助けるレモンが入った「塩レモン」味が一番のおすすめメニューなのですが、はじめて食べたときは、黄色いレモンの輪切りと赤い海藻が浮かび、緑色の熊笹の粉が縁にまぶされた異様なビジュアルに驚きました。しかも「レモンは残さず食べてください」とまた張り紙があり、この店の作法通りに食べるにはペース配分を覚える必要がありました。ちなみにこの「塩レモン」は常連の渡辺満里奈さんのリクエストで生まれたメニューだそうです。

いまではわたしもすっかりベテランになり、元気が欲しいときは一人でここへ行って、塩レモンのラーメンと餃子をいただいてきます。その特別なエネルギーを感じると、お父さんが宇宙人だという話や、時空を旅した話も、本当のような気がしてならないのです。