クローゼットの魔法

年末に、夢の中で二つのことを言われました。

「よいものが入ってくるためのスペースを作りなさい」

「(部屋に)なりたい自分にふさわしいものを置きなさい」

すっきりした部屋に、キラキラ輝く何かが置いてありました。それが何かわからなかったのは、自分で決めればいいってことかな、と後から思いました。いま住んでいる部屋よりもずっと広く見えたけど、夢の中で、そこはわたしの部屋でした。

目覚めたとき「物を減らして、片付けよう」という気持ちになっていました。クローゼットがパンパンで気がかりだったし、キッチンに素敵な棚をプレゼントしてもらったので、それがもっと素敵に見えるようにしたかったのです。ちょうど冬休みで、絶好のタイミングでした。

難関のクローゼットから手をつけました。わたしは色んな格好をするのが好きで、70年代のデビット・ボウイが着ていたようなラメのニットやら、ナポレオンみたいなマント、ミニー・マウスみたいな水玉のひらひらスカートといった衣装みたいなアイテムが多い上、テイストも、トラッド、パンク、カジュアル、ガーリーなどバラバラです。ワンシーズンに一回ぐらいは、着なくなったり似合わなくなった洋服を友人に貰ってもらうのですが、そうやって厳選し続けるうち、愛着のあるアイテムばかりが残って、だんだん減らすのが難しくなっています。

どれもとても愛しているのですが、片付けながら、ふと「どうしてこんなに色んな洋服が必要だったのだろう?」と考えました。

そして「どうして最近では、洋服を欲しいと思わなくなったんだろう?」とも。

答えはすぐにやってきました。わたしは自分を表現するために、そして自分の持つ色々な面を会う人にわかってもらおうと、洋服という目に見えてわかりやすいアイテムを使っていたのだと思いました。

わたしはあまり自分の話をする方ではなかったし、思ったことを口に出さず、飲み込んでしまうことがよくありました。でも、自分の内にあった思いやファンタジーな世界は、いつも外に出るための出口を探していたのです。

最近は(すでにたくさんあるからという理由もあるけれど)、以前よりも自分の思いをそのまま人に伝えることが出来るようになったり、自分を表現する方法を他に見つけはじめたので、洋服に代弁を頼らなくてよくなったのだと思います。

そう思うと、いままで助けてくれた洋服に感謝の気持ちが込み上げて、鼻の頭がじーんと痛くなりました。そんな訳で、洋服を半分ぐらいに減らす勢いで臨んだクローゼットの片付けは、少し減らして整頓しただけで終わりました。それでも、思いがけない贈り物をもらったような気持ちです。わたしは、色んな自分になれる魔法のようなわたしのクローゼットが、いまのところ大好きなのです。


実は洋服を大幅に減らそうと思ったのはこの夢を見る前、「フランス人は10着しか服を持たない」を読んだのがきっかけでした。若くてお金が無かった頃は、いい物を少しだけ持つというスタイルだったので、それもまたいいかなぁと思ったのです。いつかこの本に出てくるマダムのようになりたい気もしますが、もう少しお預けにします。